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2019年06月12日

コラム/最適物流の科学⑳

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第二十回となる今回は、「海運の安全安心神話を検証する」というテーマでお話しいたします。

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「荷主の立場で勧めるのなら船会社?フォワーダー?」

 

フォワーダーが海上貨物の輸送を請け負っているとはいえ、実際のところ、多くの荷主は船会社との直接契約を望みます。その理由は、やはり船会社に対する安心感・信頼感にあります。

 

フォワーダーと比較すると、一般的に船会社は企業の規模が大きく、長い歴史を持ち、高い知名度があるというポイントがその根拠として挙げられます。船という大きな資産を持っていることも安心感・信頼感に繫がっているといえるでしょう。

 

それに対して、規模が小さく、歴史も知名度も大きな資産もない中小フォワーダーは明らかに見劣りします。加えて、船会社の方が情報収集力は高く、高度な業務システムを持っており、優秀な人材がたくさんいるというイメージを持たれることもあります。これもあながち間違いではないでしょう。ただ、こうした事実が本当の意味での安心・信頼に通じているとは限りません。

 

以下、あくまでも一般論とお断りした上で、前述の事実が安心感・信頼感にはならない理由を述べてみます。

 

まず、大企業だから絶対に安心と考えるのは一概に正しいとはいえません。後で述べる大手海運会社の韓進(ハンジン)海運の破綻がその象徴的な例ですが、他の業界でも突如、大企業が破綻に陥るケースは特に珍しい出来事ではないのは周知の事実です。

 

長い歴史があることも、企業の良し悪しを判断する基準とするには不十分です。時代を乗り越え経営を維持してきたという事実は信頼度を測る基準の一つにはなりますが、必ずしも必要な要素ではありません。

 

逆に歴史にあぐらをかくことで、経営が硬直化してしまう可能性もあるでしょう。積年により蓄積した経験や情報もやがて古くなります。過去の遺産に頼ることが、場合によっては変化への対応を妨げる足かせになりかねないともいえます。

 

知名度があるということは、その裏付けとして実績を持っている場合もありますが、必ずしもそうではありません。知名度に基づくイメージが、企業の実態と異なる場合もあるでしょう。

 

船という資産を有することは、それ自体が企業の力を示す基準になります。ただ、この大きな資産を有することはリスクになる場合もあります。船会社は、自社船にできるだけ多くの貨物を載せて運航させることが常に前提となるため、場合によっては荷主にとって最適なサービスを提供できない可能性も出てくるからです。

 

情報収集力や業務システムについては、大企業の方が秀でているのは確かでしょう。とはいえ、IT技

術やネットワークの拡充によって、中小企業であっても必要な情報を入手したり業務システムを構築したりする体制づくりは十分に可能です。

 

また企業の規模にかかわらず、いくら優れた情報やシステムが手元にあっても、それを効果的に運用できなければ意味はありません。

 

大手船会社に優秀な人材がいるのも事実です。しかし、必ずしもすべての現場に優秀な人材が配置されているとは限りません。さらに企業の規模が大きくなると社内の分業化も進み、そのため担当者が請け負っている業務の全体像を組織内で把握できていないケースもしばしば起こるようです。

 

ここまで船会社に対する一般的なイメージに疑問を呈すべく、あえて否定的な面を強調しました。これによって、フォワーダーの方が船会社よりも優れていると主張しているわけではありません。フォワーダーにも否定的に捉えられる側面はあります。ただ、船会社にせよフォワーダーにせよ、その内実を知らなければ信頼するに足るかどうかを見極められないことは確かです。

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つづく。

次回は、「事故やトラブルのとき、対応はどう違う」というテーマでお話しいたします。

 

ご興味を持っていただけた方、続きを一気にご覧になられたい方は、ぜひアマゾンでお求めください♪

最適物流の科学――舞台は36106万平方km。海を駆け巡る「眠らない仕事」

https://www.amazon.co.jp/dp/4478084297/

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 


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