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2019年04月17日
コラム/最適物流の科学⑬
最適物流の科学
弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は3億6106万平方km。
海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。
そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を
毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。
第十三回となる今回は、荷物の旅路を手配する「貨物の旅行代理店」についてお話しいたします。
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「船を持たない海運会社・フォワーダー(NVOCC)とは」
物流業界でアウトソーシング化の流れが注目される中、その主体となっているのがフォワーダーです。第一章で述べたように、フォワーダー(フレイト・フォワーダー)とは、荷主から貨物を預かり、他の事業者の運送手段を利用して運送する貨物利用運送事業者を指します。そのうち、国際輸送を取り扱う事業者をフォワーダーと呼ぶのが一般的です。
その具体的な業務については、FIATA(世界フォワーダー協会)の「フレイト・フォワーダー業務に関するモデル約款」第二条一項で次のように定義されています。
「フレイト・フォワーダー業務とは、物品の運送、混載、保管、荷役、包装、配送及びこれらに関する付帯業務及び助言業務の全てをいう。同サービスには、税関手続や納税手続のための申告をすること、物品の付保、物品に関連しての支払の取り立て、書類の入手業務を含むが、これらに限定されるものではない」(伊藤仁一訳「フレイト・フォワーダーとその役割」『国際複合輸送業務の手引』(第八版)2ページ)。
この説明からもわかるように、フォワーダーの業務範囲は多岐にわたります。荷主の側からすると、輸送や通関といった業務をすべてワンストップでアウトソーシングできる頼りになる存在ということになります。
フォワーダーはヨーロッパが発祥とされています。その歴史は古く、中世後期には、すでに交易の場で活躍していたといわれています。多くの国が隣接するヨーロッパにおいて、国境での通関には複雑な手続きが必要とされ、国境をまたぐ交易では通関や輸送に精通したフォワーダーのような存在が欠かせなかったのです。
時代と共にフォワーダーの存在感は大きくなっていきましたが、1967年にEC(ヨーロッパ共同体)が発足し、域内での通関が廃止されるとその役割は縮小を余儀なくされます。そうした中で、フォワーダーは輸送の関連業務を請け負う形で事業の幅を広げ、利用運送業者として活躍の場を広げていきました。
歴史的には、輸送や通関などの業務をアウトソーシングする必要性からフォワーダーが登場したわけですが、さらに時代を遡ると、海運業(船会社)も、業務のアウトソーシング化によって誕生したと見ることができます。
海上交易においてフェニキア人が活躍していた紀元前の昔、海運を専門とする事業者はまだ明確には存在しませんでした。そのため、当時は商人が交易に際して自ら船を所有する必要があったのです。あるいは、商人らが組合を結成して共同で船を所有することもありました。このように商人が船を持ち運航して、貿易を行なう形態をマーチャント・キャリア(Merchant Carrier)またはプライベート・キャリア(Private Carrier)と呼びます。
このスタイルは、イタリア商人が活躍した中世に至っても続いていました。その後、時代が進むにつれて、他社の貨物の海上輸送を専業とするコモン・キャリア(Common Carrier)またはパブリック・キャリア(Public Carrier)と呼ばれる業態が登場します。
そしてイギリスやドイツで海運会社が誕生し、産業革命に伴う海上貨物の増加によってこの業態が一般化していきました。そうした文脈において、船会社もフォワーダーも、広い意味でのアウトソーシング化という歴史の流れの中で登場したものだと位置づけられるのです。
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つづく。
次回は、海上輸送が得意なフォワーダー(NVOCC)ついてお話しいたします。
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最適物流の科学――舞台は3億6106万平方km。海を駆け巡る「眠らない仕事」
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投稿者
ジャパントラスト株式会社