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2019年05月29日
コラム/最適物流の科学⑱
最適物流の科学
弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は3億6106万平方km。
海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。
そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を
毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。
第十八回となる今回は、「船のない船会社だからこそできることがある」というテーマでお話しいたします。
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「ハードを持たない強みと弱みを比べると」
ここまでフォワーダーの特徴や業務内容について説明してきましたが、フォワーダーのようにハードを所有せずにソフトだけを活用して運営する企業は海運業界以外にもたくさんあります。
そうしたハードを持たない会社は、自前のハードを有する会社とは、業界内でどういった関係性を構築しているのでしょうか。ここでは視野を広げるために、海運以外のさまざまな業界に目を転じて考察してみたいと思います。
「ファブレス企業」という存在をご存知でしょうか。「ファブ(fab)」はファブリケーションファクトリー(Fabrication Facility:工場)の略で、これが「レス(less)」とはつまり、〝ない〟ということです。そうした工場というハードを持たない企業が製造業を営むビジネスモデルが今、注目されています。よく知られている企業としては、ゲームメーカーの任天堂、飲料メーカーのダイドードリンコ、自動制御機器などの製造販売を行なうキーエンスなどが挙げられます。
海外では、IT企業のAppleやスポーツ用品メーカーのナイキなどがファブレス企業として有名です。こうした企業は、商品の製造を他の企業へアウトソーシングして、自社は商品の企画・開発や設計に経営資源を集中させています。
一方、ファブレス企業から委託を受けて商品を製造する企業を受託製造企業といいます。その中で、主に半導体製造を行なう企業は「ファウンドリ(foundry)企業」、電子機器を製造する企業は「EMS(Electronics Manufacturing Service)」とも呼ばれます。受託製造企業は数多く存在しますが、基本的に裏方の立場にあるため、一般によく知られる企業は多くありません。
その中で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業は2016年に、経営再建中のシャープを買収したニュースで注目を集めました。この企業は先に挙げたAppleや任天堂などから多くの商品製造を受託するなど、世界の電子機器製造の分野では、もはや欠かせない存在となっています。2016年の連結売上高は日本円で約15兆7,800億円にのぼります。日本企業でこれを上回っているのはトヨタ自動車だけです。
鴻海精密工業の事例からもわかるように、受託製造企業は従来の中小企業を主とした「下請け企業」に対するイメージで捉えることはできません。建て前としてのパートナーではなく、真のパートナーとして共存共栄を目指そうとしているのが、ファブレス企業と受託製造企業の関係だといえるでしょう。
ファブレス企業と受託製造企業は、それぞれがソフトとハードに特化することによって、双方に大きなメリットをもたらしています。ファブレス企業にとっては、小資本で市場に参入できるとともに、資金や人材を企画・開発および宣伝・販売に注力し、競争力を高める効果が得られます。
そして急速に変化し続ける市場の動きに、柔軟かつスピーディに対応できる点は大きなアドバンテージといえるでしょう。一方の受託製造企業は、安定的に受注を確保できると同時に複数の企業からの製造を請け負うことで、工場稼働率を高めるメリットが享受できます。
またハードに特化して技術力向上に専念でき、ひいては発注企業の囲い込みに繫げることもできます。
ただ双方にデメリットもあります。ファブレス企業にとっては、企画・開発に関する情報漏洩のリスクが生じ、製造ノウハウを蓄積できないという点が挙げられます。受託製造企業では、自社ブランドを構築できず、エンドユーザーとの接点も持てないといったことが課題となるでしょう。
マイナス面もあるとはいえ、現在、メーカーの水平分業化が進んでいるのは事実です。これは刻々と変化する市場の動向に企業がいかに迅速に対応するかが、今日ではより重要になっているという事実の証左ともいえるでしょう。
これは製造業に限った話ではありません。海運業界を取り巻く環境も、それまでにないスピードで変化を続け、その対応策として分業化は、キーポイントの一つと考えられます。フォワーダーと船会社の関係においても、そうした視点が重要になってきているといえるでしょう。
もちろん、その両社の関係を製造業におけるファブレス企業と受託製造企業の関係にそのまま置き換えることはできませんが、海運業界の未来を考える上で、両者のあり方の再検討が重要である点は間違いありません。
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つづく。
次回は、「フォワーダーと船会社はパートナー」というテーマでお話しいたします。
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最適物流の科学――舞台は3億6106万平方km。海を駆け巡る「眠らない仕事」
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投稿者
ジャパントラスト株式会社
2019年05月22日
コラム/最適物流の科学⑰
最適物流の科学
弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は3億6106万平方km。
海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。
そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を
毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。
第十七回となる今回は、船会社に代わって船荷証券(B/L)を発行することについてお話しいたします。
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「船会社に代わって船荷証券(B/L)を発行」
船荷証券とは、船積書類の一種で、一般にはB/L(ビーエル)と呼ばれます。Bill of Ladingの略称で、この書類の発行に際してもフォワーダーが重要な役割を担います。B/Lは、貨物の輸出入に際して非常に重要な書類でもありますので、その内容について具体的に紹介しておきましょう。
まず、この書類は三つの性質を持っています。
1.貨物受領証:船会社が荷主から貨物を受け取り、船積みすることを約束した証書。
2.運送契約証:船会社が荷主との間で、貨物を目的地まで届ける契約を交わしたことを示す証書。
3.貨物引換証:荷揚港でB/Lと引き換えに貨物が引き渡されることを約束した証書。
有価証券としての性質も備えているのがB/Lで、裏書きによって第三者に転売することもできます。
B/Lは、荷主が船会社に発行を依頼しますが、フォワーダーはこの役割を代行します。その際に必要となるのが、先に記したS/Iやインボイスといった書類です。そこに記載された情報を船会社に提示し、船会社は船積みが完了するとその情報に基づいてB/Lを発行するのです。
フォワーダーは荷主と契約を交わした際に、運送人の立場で自社のB/Lを発行します。一方で船会社との関係において、フォワーダーは荷主の立場で船会社からB/Lの発行を受けます。フォワーダーの発行するB/LをハウスB/L(House B/L)、船会社が発行するB/LをマスターB/L(Master B/L)と呼び、両者を区別します。貨物の引取りに際しては、フォワーダーは船会社にマスターB/Lを、受取人はフォワーダーにハウスB/Lをそれぞれ呈示することになります。
なおB/Lは通常、紛失した場合に備えて正本が三通発行されます。そのうちの一通が回収された時点で、他の正本は無効となります。
海上輸送に際して、B/Lを使わずにシー・ウェイビル(Sea Waybill)という書類を使って取引が行なわれる場合があります。これは、日本語では海上運送状といい、先に挙げたB/Lの性質のうち貨物受領証と運送契約証としての役割を持つものです。貨物としての性質を持たないので、貨物を引き取る際に呈示する必要はありません。貨物の到着を受取人に通知するために届けられる貨物到着案内書(Arrival Notice)に署名し、これが貨物の引換証になります。当然、有価証券としての性質は持ちません。
シー・ウェイビルであれば、貨物の到着よりもB/L正本の到着が遅れて引取りができないといったトラブルがないので、迅速な取引が求められる場合に利用されます。また、B/L紛失のリスクを回避するためにも有効です。
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つづく。
次回は、「船のない船会社だからこそできることがある」というテーマでお話しいたします。
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投稿者
ジャパントラスト株式会社
2019年05月15日
コラム/最適物流の科学⑯
最適物流の科学
弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は3億6106万平方km。
海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。
そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を
毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。
第十六回となる今回は、海上輸送では複雑な書類作成業務ついてお話しいたします。↓
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「海上輸送では複雑な書類作成業務が待っている」
次に、フォワーダーが海上輸送に際して具体的にどのような業務に携わるのかを見てみましょう。細かい業務を含めると多岐にわたりますが、輸出に際して行なう主な業務は次の通りです。
荷主に貨物のボリューム(FCL・LCLの区別)、コンテナの種類、搬入場所などを確認し、船積みの運賃、および港到着後の配送費用、梱包作業、通関などの必要経費をあわせて見積りします。
荷主との間でスケジュールなどの確認をし、ブッキングを受け付けます。
荷主の要望に基づき、船の出港日時・到着日を調べながら最適なルートを選び、自らが荷主となって船会社にブッキングを行います。
貨物の出荷にあたって、下記の三種類の書類を作成します。
・S/I(Shipping Instruction:船積指図書):輸出者がB/L(Bill of Lading:船荷証券)に記載する内容を運送人に伝えるための書類。荷送人名(Shipper)、荷受人名(Consignee)、連絡先(Notify Party)、本船名、船積港、陸揚港、出港予定日、シッピングマーク、品名、数量、支払い方法、B/Lの発行地などが記載されます。
・インボイス(Invoice:送り状):発送する貨物の中身を説明する書類。輸出者名、輸入者名、本船名、出港予定日、船積港、陸揚港、シッピングマーク、品名、数量、単価、金額、支払方法などが記載されます。
・パッキングリスト(Packing List:梱包明細書):貨物の梱包明細。輸出者名、輸入者名、品名、出港予定日、シッピングマーク、貨物の梱包形態などが記載されます。
荷渡しを担当する現地代理店へ指示を出すとともに、港に到着した後で内陸輸送が必要な場合は事前にその手配を依頼しておきます。
LCLの場合はコンテナ詰めを行なった後、コンテナを船会社指定のコンテナヤードへ運びます。
決められた決済方法に基づき、荷主に対する代金の請求・回収を行ない、船会社等に支払いを行ないます。
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つづく。
次回は、船会社に代わって船荷証券(B/L)を発行することについてお話しいたします。
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投稿者
ジャパントラスト株式会社
2019年05月13日
初めまして(劉)
北米発着の海上コンテナ輸送、全世界へのフラットラック・
オープントップコンテナ(オーバーゲージカーゴ)の輸送を得意としているジャパントラストの劉です。
今回が初登場になるので、今回は自己紹介を軽くさせていただきます。
まずフルネームは
”劉 信彦” といいます。
4月に新卒として入社したばかりです。
名前からも推測できるように、私は日本人ではなく、国籍は台湾にあります。
そのため、下の名前も”ノブヒコ”ではなく”シンゲン”と読みます。
日本育ちのため完璧ではありませんが、多少なら台湾のことは詳しいのでお気軽にお聞きください(笑)
学生時代は、テニスコーチのバイトをしており、テニスばかりしていました。
上手く撮って頂いた写真です。
(このあとカウンター食らってポイント落としています笑)
という風にテニス大好きなのでお誘いお待ちしております!!
バスケ・野球・水泳・空手も習い事でやっていたので他のスポーツも大歓迎です!!
趣味は
映画鑑賞・洋楽・散歩等 です。
好奇心旺盛なので色々教えてください!
長くなりましたが、こんな感じの人間です。
今後、外勤営業になる予定ですのでお会いする際にはよろしくお願い致します。
皆さんにお会いできるのを楽しみにしております!
・北米発着の海上コンテナ輸送でご相談の方はこちら
投稿者
ジャパントラスト株式会社
劉 信彦
2019年05月10日
セブ島(柳)
北米発着の海上コンテナ輸送、全世界へのフラットラック・
オープントップコンテナ(オーバーゲージカーゴ)の輸送を得意としているジャパントラストの柳です。
久々の海外旅行で、嫁に連れてってもらいました。(笑)
最初、「行くなら、やはりハワイでしょう!」といやいやだったが、
行けば、意外と楽しかった!
景色も食事もベストです。
・北米発着の海上コンテナ輸送でご相談の方はこちら
投稿者
ジャパントラスト株式会社
柳 晶
2019年05月08日
コラム/最適物流の科学⑮
最適物流の科学
弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は3億6106万平方km。
海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。
そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を
毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。
第十五回となる今回は、海上輸送が得意なフォワーダー(NVOCC)ついての続きをお話しいたします。
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「海外旅行することをイメージして考える」
ここまで、フォワーダー(NVOCC)について説明してきましたが、少しわかりづらいと思われた方もいるかもしれません。ここでは、フォワーダーをより深く理解していただくために、「貨物の旅行代理店」という表現を用いて説明してみたいと思います。外国へ貨物を送る機会にはなじみがなくても、自らが海外旅行へ出掛けるケースであれば比較的イメージしやすいのではないでしょうか。
旅行代理店は、お客様を運ぶ交通機関などの手配をするとともに、パスポートやビザなどの申請や旅行保険の手続きを代行します。旅行に関する煩雑な手続きはすべて旅行代理店が代行してくれるので、旅行者は安心して目的地へ向かうことができます。フォワーダーはこの「旅行者」を「貨物」に置き換えたものということになります。もちろんこの場合、輸送手段は船になります。
旅行代理店は、顧客が自社サービスを選択してくれるように営業努力をしています。同時に旅行者が利用する交通機関あるいは宿泊施設に対して、良い条件でかつ安く利用できるよう営業活動をしているのです。
フォワーダーも同様に、貨物を依頼する荷主に営業活動をしながら、船会社に対してスペースを安く提供してもらえるよう仕入交渉を重ねます。
旅行代理店を利用したことがある人ならおわかりかと思いますが、代理店を通したからといって、その手数料で費用が高額になるということはまずありません。自分ですべての手続きを行なった場合に比べ、安くなるのが通例です。実際、旅行者自身で交通機関や宿泊施設に連絡を取り、値下げ交渉をするのは容易ではありません。そうした交渉を旅行代理店が代行し、旅行者は格安な価格で旅を楽しむことができるのです。フォワーダーも同じです。フォワーダーの営業活動については後の章であらためて触れますが、アウトソーシングだからその分だけ費用がかさむというイメージは誤解です。
また旅行代理店は目的地へ向かうさまざまな手段・ルートの中から、経済性や効率性を考慮しながら最適なものを提示してくれます。フォワーダーも同様に貨物を目的地へ届けるため、荷主の要望に応じてより最適な手段・ルートを選別し提案します。これが「最適物流」です。航路改編、スペース、運賃相場など変化の激しい海運業界において荷主自らが行なうのは難しい事柄をフォワーダーが代行するという意味で、その利用価値は高いといえるでしょう。
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つづく。
次回は、海上輸送が得意なフォワーダー(NVOCC)ついての続きをお話しいたします。
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投稿者
ジャパントラスト株式会社