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2019年04月10日

コラム/最適物流の科学⑫

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第十二回となる今回は、「戦略的物流が3PL」ついてお話しいたします。

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「戦略的物流が3PL」

 

物流業界におけるアウトソーシングとして、今注目されているのが3PLです。これは「サード・パーティ・ロジスティクス(Third Party Logistics)」のことで、アメリカで始まったビジネスモデルです。

 

日本でも導入が進んでいる3PLですが、統一的な定義が確立しているわけではありません。国土交通省の「総合物流施策大綱」(1997年4月閣議決定)によると、3PLを「荷主に対して物流改革を提案し、包括して物流業務を受託する業務」と定義しています。

 

つまり荷主(ファースト・パーティ:First Party)でもなく、実際に物を運ぶ物流業者(セカンド・パーティ:Second Party)でもない第三者が荷主から物流業務全般を請け負う場合を指します。

 

3PLの〝L〟は「ロジスティクス」ですが、この用語を厳密に説明すると「物流」が同義ではありません。元は「兵站(へいたん)」という軍事用語で、戦地で必要とされる物資を的確なタイミングで効率よく補給する役割を意味します。単に物資を運ぶのではなく、そこに戦略的な要素が加わった動きを指すのです。つまり3PLでは、外部の業者が物の輸送だけでなく、在庫管理、さらには原材料の調達や製品の販売までの流れ全体を一括で引き受けることになります。

 

特にアメリカにおいて、3PLの先駆的役割を果たしてきたのがフォワーダーです。1970年代から1980年代にかけて進んだ規制緩和の流れの中で、それまで荷主が行なっていた業務(運送業者との交渉、運賃の支払い、倉庫の手配など)をフォワーダーが担うようになり、ここから3PLは発展を遂げていきました。国際物流でドア・ツー・ドアを確実に遂行するにあたって、戦略的に物流を考える視点は不可欠です。今後、海外工場間における貨物輸送(三国間輸送)がさらに増加すると予想される中、フォワーダーが3PLを行なうケースもより多くなっていくでしょう。

 

ところで3PLを担う主体は、本来の意味においてはフォワーダーなどのサード・パーティです。しかし実際は、セカンド・パーティーである業者も、このビジネスに積極的に参入しています。

 

これらを区別するために、輸送手段や物流施設を持たないフォワーダーなどを「ノンアセット(Non-Asset)型」、それに対してハードを持つ運送会社などを「アセット(Asset)型」と呼び、今日この2者が3PLの主体と位置づけられています。

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つづく。

次回は、荷物の旅路を手配する「貨物の旅行代理店」ついてお話しいたします。

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年04月03日

コラム/最適物流の科学⑪

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第十一回となる今回は、古くて新しい「アウトソーシング」の役割ついてお話しいたします。

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「古くて新しい「アウトソーシング」の役割」

 

国際物流業界には、船や航空機を持たずに貨物輸送を請け負う事業者が存在します。それが前章の最後に挙げたフォワーダーです。業種を問わずアウトソーシング化、分業化の傾向がある今、物流業界でこれを実践するフォワーダーへの関心が高まっています。自社でハードを持たずに輸送を受注するスタイルの企業は、業界内でどのような役割を果たしているのでしょうか。

 

本章では、一般には決して知名度が高いとはいえないフォワーダーという業態を、業界内での位置付けなど幅広い視点から解説します。あわせて、その具体的な業務内容や特徴についても詳しく紹介していきましょう。

 

「価格交渉もアウトソーシングできる時代」

 

ビジネス界においては、業務のアウトソーシング化への大きな流れが世界的に進行しています。特に欧米を中心にその動きは加速し、経済産業省の資料によると、ビジネス支援サービス、すなわちITO(Information Technology Outsourcing:情報システム部門業務の一部外部委託)およびBPO(Business Process Outsourcing:事務処理的なバックオフィス業務の一部外部委託)の市場は、2012年から2017年に至る5年間で、世界全体で年平均約5.1%の成長を遂げています。

 

北米に限るとその成長率は5.3%にのぼり、その一方で日本は3.0%の成長にとどまっています(経済産業省商務情報政策局「ビジネス支援サービスの活用」2014年)。世界的に見るとやや出遅れている感があるものの、我が国でも現在、アウトソーシングが成長分野となっていることは確かです。

 

企業が業務をアウトソーシングする目的の一つとしてはコスト削減が挙げられ、前章で触れた国際分業の進展もそうしたニーズを満たすためといえるでしょう。経理事務、社内システムの構築、コールセンターの運営などの業務を専門知識や最新技術を持った外部の人材に委託し、企業運営の効率化を図ることも大きな目的です。

 

また最近はビジネス上の価格交渉などの業務にもアウトソーシングが採用されるケースがあるなど、適用範囲が広がっています。

 

アウトソーシング化が進んでも、すべての業務を外部の人材に任せるわけではありません。企業にとってのコア業務は自社で行ない、ノンコア業務に位置づけられる分野を外部に委託することが基本となります。

 

経営に必要とされるすべての業務について自社で人材を育成し、その人たちに運用を任せるのは決して効率的とはいえないのです。

 

業務として標準化できる分野、あるいはコア業務以外で専門性が必要とされる分野では、外部の力を活用するのが適切な選択です。経営資源をコア業務に集中させることは、企業の競争力を高める上で重要な方策となります。シリコンバレーには、社員数20名で数百億の売上を挙げているIT企業もあります。こうした企業は、自社ではアプリ開発しかやらないなど、徹底してコア業務に資源を集中させているのです。

 

時代の変化がますます加速する中、同時にあらゆる業務が複雑化、高度化する中、業務のアウトソーシング化は今後も拡大していく流れが予想されます。そうした波が押し寄せているのは、物流の分野も例外ではありません。

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つづく。

次回は、「戦略的物流が3PL」ついてお話しいたします。

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年03月27日

コラム/最適物流の科学⑩

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第十回となる今回は、海運を支えるさまざまな事業者たちについてお話いたします。

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「海運を支えるさまざまな事業者たち」

 

貨物が荷主の元を出て海外の目的地へ届くまでには、さまざまな場所を経由することを見てきました。いくつもの段階を経て貨物が運ばれていくわけですが、これを安全に、スムーズに、確実に行なうためには専門事業者の果たす役割が重要になります。では実際どんな業種の企業が関わっているのでしょうか。

 

ここでは、その主な関連業種について触れていきましょう。なお、貨物輸送を委託する事業者の特徴については第三章で詳しく取り上げますので、ここでは概略のみ紹介します。

 

  • 船会社

船舶を所有し、業務で運航する会社です。貨物や旅客を運ぶ海上輸送を主業務としていますが、内陸輸送など関連する業務も請け負います。

 

  • 通関業者

輸出入に際しては税関に貨物の詳細を申告し許可を得る必要がありますが、この手続きとそれに付随する業務を代行するのが通関業者です。

 

  • 港湾業者

港湾内における貨物の運搬、荷役、仕分け、保管などを担い、船会社や荷主から委託を受け、港湾でのさまざまな業務に携わります。

 

  • 倉庫業者

顧客から物品を預かり、倉庫などでの保管を行なう事業者を指します。貨物の保管や荷役といった業務だけでなく、輸配送など関連業務も請け負います。

 

  • 乙仲

乙仲(おつなか)とは、海運貨物取扱業者(海貨業者)の別名で、荷役や通関など、貿易に関する幅広い業務を代行します。この呼称は戦前の海運組合法で規定されていた乙種海運仲立業に由来し、今も慣習的に使われています。

 

  • フォワーダー(フレイト・フォワーダー)

荷主から貨物を預かり、他の業者の運送手段(船舶、航空、鉄道、貨物自動車など)を利用して運送する業者を指します。貿易に関する幅広い業務を代行するという意味では乙仲と重複しますが、一般的には貨物利用運送事業者のうち国際輸送を取扱う業者をフォワーダーと呼びます。

 

・エアーフォワーダー(エアー・フレイト・フォワーダー)

フォワーダーのうち、航空機での輸送を得意とする業者を指します。

 

・NVOCC

フォワーダーのうち、海上輸送を得意とする業者を指します。NVOCCとはNon Vessel Operating Common Carrierの略で、日本語で非船舶運航業者とも呼ばれます。

 

なお本書では、読者の皆さんの混乱を避けるため、便宜上、海上輸送に携わるフォワーダー(NVOCC)を「フォワーダー」という呼び方で統一します。

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つづく。

次回は、古くて新しい「アウトソーシング」の役割ついてお話しいたします。

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年03月20日

コラム/最適物流の科学⑨

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第九回となる今回は、貨物はどんなルートで目的地へ届くのかついてお話しいたします。

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「コンテナの流れは二通りある」

 

今日、貨物のコンテナ化によってドア・ツー・ドア(door to door)の一貫輸送は一般的になっていますが、荷主の元を出た貨物は具体的にどんなルートをたどって目的地へ届けられるのでしょうか。貨物がある工場から海外の目的地へ届けられることを想定し、その大まかな流れを見ていきます。

 

コンテナ貨物はFCL(Full Container Load)貨物とLCL(Less than Container Load)貨物の2種類に分けられます。FCLは、一荷主がコンテナ一本をチャーターしたものを指します。一方、LCLは複数の荷主が一つのコンテナに貨物を混載したものを指します。貨物を積み降ろしするタイミングが異なるため、全体の流れも若干異なります。

 

まず、工場で物品を梱包(包装)します。梱包は、輸送中や保管中に、その価値と状態を維持するために行なわれるもので、大きく個装(個々の物品の包装)、内装(包装貨物の内部の包装)、外装(包装貨物の外部の包装)の三種類に分けられます。基本的にコンテナ輸送の場合は外装が簡易化されます。

この後、FCLとLCLとでは手順が違ってきます。FCLの場合は、工場に空コンテナを持ち込み、そこでバンニング、すなわちコンテナに貨物を積み込む作業を行ないます。貨物はコンテナに積み込まれた状態で工場から出荷され、運送業者によってコンテナヤード(CY)に搬入されます。そして、輸出通関の手続きを行ない、許可を得て船積みされます。なお、税関で検査の指示があった場合は、抜き取り検査もしくは全量検査が実施されます。

 

一方LCLの場合は、他の荷主の貨物と同じコンテナに混載する必要があるため、工場で梱包した状態で出荷されます。その後、運送業者によってコンテナヤードへ運ばれ、その中にあるコンテナ・フレイト・ステーション(CFS:混載貨物専用倉庫)へ搬入されます。貨物はここで他の荷主の貨物と共にコンテナへ積み込まれます。そして、輸出通関手続き、輸出許可を経て港に停泊している船舶に積み込まれます。

 

次に、出港した船は目的地の港へ向かいます。港へ着くと荷降ろしされ、輸入国のコンテナヤードへ搬入されます。その後FCL貨物はコンテナのまま輸入通関手続き、輸入許可を経て、目的地へ運ばれてデバンニング、つまりコンテナからの荷降ろしが行なわれます。一方のLCLは輸出時と同様にコンテナ・フレイト・ステーションへ運ばれ、そこでデバンニングされた後、輸入通関手続き、輸入許可を経て目的地へ届けられます。

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つづく。

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年03月13日

コラム/最適物流の科学⑧

最適物流の科学

 

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海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

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第八回となる今回は、貨物の運搬効率を上げたコンテナ化のメリットのお話しをいたします。

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【貨物の運搬効率を上げたコンテナ化のメリット】

 

コンテナ船が海上輸送の主役へと一気に上り詰めた理由には、これまでにはないメリットが数多く得られたという背景があります。

 

まず、貨物を一度に大量に運べるようになったことが挙げられます。コンテナは国際的に規格化されています。非常に頑丈な構造で、貨物の形や大きさが均質でなくても、規格が統一化されたコンテナに収めれば整然と並べられ、縦に積み上げることもできます。もしコンテナのサイズが異なっていたらこうした積み方はできません。

 

この規格を統一したのはアメリカの運輸省海事管理局(MARAD)です。一九五八年から規格化に取り組み、1961年に10・20・30・40フィートのコンテナを規格とすることを決定しました(1フィートは約0.3m)。その後、ISOに設けられた第104技術委員会というコンテナに関する専門委員会によって、世界的な規模での標準化が進められていきました。

 

ヨーロッパや日本などでも、サイズや最大総重量、各部の名称、試験方法、表示方法などコンテナの詳細についての規格が制定され、現在のISO規格に至っています。なお、コンテナの種類や規格については後の章で取り上げます。

 

次にメリットとして挙げられるのが、梱包を簡素化できるようになったことです。

 

貨物を堅牢なコンテナに収納することで、梱包資材の削減や作業手間の軽減が図れるようになったのです。同時に、貨物の損傷や盗難の危険性も大幅に減少します。これは貨物の保険料低減にも繫がりました。

 

また、コンテナ内には雨が入らないので、天候にかかわらず積み降ろしができるようになったことも大きな利点です。

 

コンテナ化によって荷役時間も大幅に減少しました。貨物のサイズが異なるとそれぞれ違った取扱いが必要となりますが、コンテナの登場でこの手間が大幅に解消されたのです。それまでは、船に設置されたデリック(クレーンに似た機械)などの機器を使って貨物を積み降ろしていました。

 

コンテナ化されて以降は、ガントリークレーンという大型クレーンを使い、効率良く荷役を行なうことができるようになりました。ただ、コンテナの積み降ろしは従来の港湾設備ではできません。港がガントリークレーンなど専用の荷役設備を備えている必要があります。さらに、大型コンテナ船が寄港するには港に一定以上の水深が必要です。そうした条件が整っていなければ港を利用することができないのです。

 

先ほど触れたように、かつてのマルコム・マクリーンによるコンテナ輸送の考案が発端となり、海上と陸上の一貫輸送を可能にした歴史も忘れてはなりません。船とトラック、貨物列車、さらには航空機を含めた国際複合一貫輸送は、コンテナの登場で飛躍的に発達し、今日の物流では欠かせないサービスとなっています。これはいわばスマートホンの誕生と同じぐらいの革命でありインパクトといえるのです。

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つづく。

次回は、貨物はどんなルートで目的地へ届くのかついてお話しいたします。

 

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ジャパントラスト株式会社 

 

2019年03月06日

コラム/最適物流の科学⑦

最適物流の科学

 

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第七回となる今回は、コンテナ輸送の誕生のお話しになります。

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「コンテナ輸送の誕生は1940年代」

 

現在、定期船の主流になっているのはコンテナ船ですが、コンテナが海上輸送で本格的に使用されるようになったのは約半世紀前のことです。その登場は、海運業界に革命ともいえるくらい大きな変化をもたらしました。

 

さまざまな貨物を中に収めるコンテナという箱自体は、19世紀の段階ですでに使用されていました。ただ、それは鉄道や自動車での輸送で利用するためのものでした。これが船舶で使われるようになったのは、20世紀半ば近くになってからです。コンテナ船は、アメリカ人のトラック運転手、マルコム・マクリーン(Malcolm P. McLean)が、1940年にトレーラーを海上輸送に利用したことが起源になっていると伝わっています。

 

マクリーンは1956年、大手船会社のウォーターマン・スチームシップ(Waterman Steamship Co.)を買収し、タンカーを改装してコンテナ輸送を始めました。当初は、トレーラーなど車両をそのまま船に収納するRORO船の方式で輸送していました。ここからさらに積載効率を高めるため、コンテナを車両と切り離すとともに、船倉内にセルガイド(垂直のガイドレール)を設置して積荷を固定する方法を開発します。

 

彼は1960年に社名をシーランド(Sea-Land Service Inc.)に改め、1966年には、フルコンテナ船を「ニューヨーク ― ロッテルダム間」に就航させました。これが国際定期路線におけるコンテナ化の先駆けとなります。また、アメリカのマトソン社(Matson Navigation Company, Inc.)も、翌1967年にコンテナ船を太平洋航路に就航させました。

 

コンテナ船が本格的に利用されるようになった1960年代は、ベトナム戦争が拡大する中、戦地への物資輸送も急増しました。

 

シーランド社はベトナムに向けた軍用物資の輸送にもコンテナ船を投入し、輸送効率に優れたその輸送能力が注目されたのです。

 

当時アメリカ軍は、ベトナムに派遣された兵士たちの戦意高揚のため、母国にいた時とできるだけ同じ生活をさせるという方策を取っていました。そこで、コンテナにコカコーラをはじめとするアメリカの食品、日用品を大量に積んで現地へ送るようになります。コンテナは現地で倉庫として使われることもありました。

 

また、大量の物資を送り届けた船は、帰りには戦争で亡くなった兵士の遺体を乗せて帰国しました。こうした戦地への物資の輸送を機に、コンテナ船は飛躍的に発達していったのです。

日本では1968年、日本郵船が昭和海運、アメリカのマトソン社と提携し、初の外航コンテナ船となる「箱根丸」を、日本とカリフォルニアを結ぶ航路に就航させました。この船は日本初のフルコンテナ船であったと同時に、当時世界最大のディーゼルエンジンを搭載していました。

 

これにより「東京 ― ロサンゼルス間」がわずか9日で結ばれることになります。それまで往復で80日要した太平洋航路が、30日に短縮されました。

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つづく。

次回は、貨物の運搬効率を上げたコンテナ化のメリットついてお話しいたします。

 

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ジャパントラスト株式会社 

 

2019年02月27日

コラム/最適物流の科学⑥

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第六回となる今回は、「我が国の貿易は九割以上を船が運ぶ」というテーマのお話しです。

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「スピードでさまざまなニーズに応える航空輸送」

 

我が国と海外を結ぶルート上を膨大な量の貨物が日々行き交っているわけですが、日本における貿易は実に99%以上は船舶によって行なわれています。2015年のデータでは99.6%となっていますが、この数値は、過去10年間ほとんど変わっていません。その残りのわずかな部分を占めているのが航空機です。

 

航空機を使った輸送も年々増加していますが、貨物の総量も増加傾向にあるため、海上輸送が圧倒的な比率を占める状況は続いています。ただ、ここで挙げた比率は、トン数ベースで見た場合のものです。一方、金額ベースでは、海上輸送の割合は8割弱にまで下がります(2013年データでは輸出が75%、輸入が78.1%)。なぜこうした差が生じるのでしょうか。この点を含め、航空機との比較から船舶の特徴を確認してみたいと思います。

 

航空機と船舶を比較すると、さまざまな点で大きな違いがあります。まず輸送能力が挙げられます。航空機の場合、貨物の最大積載量は大型機でも100tを超える程度。対して船舶はその1,000倍以上の積載量を有するものもあります。

所要時間にも大きな差があります。航空機で日本からアメリカ大陸へ向かう場合、直行便で24時間以内に到着することができます。しかし、船舶で同様に太平洋を横断した場合は10日以上を要します。

 

このような違いから、運賃にも大きな差が生じます。船舶に比べると、航空機は格段に高い費用がかかります。この点は大きなデメリットですが、航空機の場合は輸送中の振動や温度・湿度の変化が比較的少ないため、貨物が損傷する可能性が低く抑えられます。また、盗難や事故に遭う可能性が比較的低いことも特徴です。こうした特性から、航空機は船舶など他の輸送手段に比べて保険料は低く抑えられます。

 

航空機で輸送される貨物のうち、もっとも多くの割合を占めるのが機械類です。特に、付加価値の高い電気製品・電子部品や医療機械などがその対象となります。いわゆるJIT(ジャストインタイム)貨物も航空機を使って運ばれます。自動車産業に代表される「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」生産するシステムを維持する上で、航空機のスピードは欠かせません。また機械類以外では、野菜や果物、鮮魚といった生鮮食料品、動物、緊急を要する医療品、貴金属、芸術品などが挙げられます。トン数ベースに対して金額ベースでは航空輸送の割合が高くなる理由も、貨物の内容を見れば明らかでしょう。

 

航空機を使った貨物輸送は今後も増大していくと考えられます。とはいえ貨物全体では、航空機で運ばれるものはごく一部に限られるという状況は変わらないでしょう。

 

「定期船は路線バス、不定期船は貸し切りバス」

 

次に、船舶についてもう少し具体的に掘り下げていきます。貨物船は業法によって、定期船(ライナー:Liner)と不定期船(トランパー:Tramper)の2つに分類されます。

 

まず定期船は、バスにたとえるなら路線バスに似た存在で、定期スケジュールに従い、決められたルートを運航する船舶を指します。あらかじめ寄航する港が決められており、毎週決まった曜日のほぼ定時に到着するように運行します。定期船では、工業製品や半製品、衣料品、食料品などが輸送されます。これらは基本的にロットが小さいため、不特定多数の荷主から集荷し、混載して運ばれます。定期船には一般貨物船(在来貨物船)も使用されますが、現在主流を占めているのはコンテナ船です。

 

そして定期船は、各船会社によって世界中に設定されたさまざまなルートを航行します。中でも、アジアと北米を結ぶ北米航路、北米と欧州を結ぶ大西洋航路、アジアと欧州を結ぶ欧州航路は世界の三大航路と呼ばれています。そのうち、日本の港をカバーするのが北米航路と欧州航路ですが、日本からの定期船航路には他にもアジア航路、中近東航路、中南米航路、アフリカ航路などがあります。ただ、現在それらの航路に定期航路を持つ日本の船会社は実質一社のみで、日本郵船、商船三井、川崎汽船のコンテナ部門が統合された船会社に限られています。

 

もう一つが不定期船です。これは荷主の要望に応じたスケジュール、ルートで運航する船を指します。荷主が船会社と契約し、船腹を借り切って貨物を運びます。このことから、不定期船を使った輸送は「用(傭)船輸送」とも呼ばれます。定期船が路線バスなら、不定期船は貸し切りバスに相当するでしょう。原油や鉄鉱石、穀物といった単一の貨物を大量に運ぶ目的で使われることが多いため、主に専用船が利用されます。

 

定期船と不定期船を荷動きの量だけで比較すると、不定期船の方が多くの割合を占めています。不定期船では、原油や鉄鉱石、石炭といった鉱物資源が運ばれていることを考慮すれば当然ともいえるでしょう。ただ、大半の企業にとって、貿易に際して利用することになるのは定期船です。本書でも、基本的には定期船について取り上げていきます。

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つづく。

次回は、コンテナ輸送の誕生についてお話しいたします。

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年02月20日

コラム/最適物流の科学⑤

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第五回となる今回は、世界経済という大きな枠組みを出発点に海上輸送とそれを担うコンテナ船についてさらに踏み込んでいきます。

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「増え続け、流通も複雑化する世界の海上荷動量」

 

グローバル時代の今日、世界経済において海上輸送は大きな役割を果たしています。前章で記したように、島国である日本にとって海外との貿易を担う海運業は、まさに生命線といっても過言ではありません。

 

本章ではまず、海上における実際の荷動きの動向を踏まえ、海運の重要性をさらに掘り下げていきます。その上で、海上輸送の特徴、中でも今日主流を占めているコンテナ船の歴史やそのメリットを取り上げ、そして具体的にどういう流れで、どのような業種の企業によって貨物が輸送されているのか、業界の仕組みについても紹介します。

 

「右肩上がりの需要。果たす役割も増す」

 

日本近海に限らず、世界中の海域を夥しい船舶が日々行き交っていることは先の章で見た通りです。では実際、それらの船によってどれだけの貨物が運ばれているのでしょうか。

 

世界の海上荷動量のデータを参照すると、1年間の合計量は約100億tとなっています(2014年)。

これを2004年のデータと比較すると、10年間で約1.4倍も増加していることがわかります。年ごとの動きでは、リーマンショックの影響を受けた2009年を除き、一貫して増加傾向をたどっています。品目別では原油を除けば、いずれの品目もほぼ継続して右肩上がりとなっています。

 

ではコンテナ貨物はどうでしょうか。これも、他の品目同様に増加傾向を示しています。さらに詳しく見ていくと、その伸び幅は特に大きな部類に入ることがわかります。2004年と比較した場合、その伸びは全体では約1.4倍でしたが、コンテナ貨物は10年で約1.8倍となっているのです。

 

海上の荷動量が年々増加傾向にある背景の一つに、グローバル化に伴う国際分業の進展が挙げられます。原材料を輸入し、それを加工した工業製品を輸出することを加工貿易といいますが、昔であれば、そこで扱われる物資の動きは比較的シンプルな流れで捉えられていました。ところが今日では、原材料だけでなく半製品の国際的な流通も拡大しているため、流れは非常に複雑になっています。つまり、原材料から最終的な完成品に至るまでに、各物資が数多くの場所を経由しているということです。

たとえば、米Apple社のiPhoneの部品は、アメリカだけでなく台湾や日本、さらには中国や韓国、ドイツなどのメーカーが供給しています。複数の国でさまざまな部品を製造し、それを一カ所に集めて組み立てるわけです。その各部品を原材料に遡り、半製品を経て完成品に至るまでのルートを結ぶと、日本を含め地球上に無数の線が描かれることになるでしょう。

 

輸送する貨物の量が多くなれば、それに応じて船舶における貨物の積載量である船腹量も増大させる必要が生じます。実際、コンテナ船の船腹量は2000年以降一貫して増加しています。世界的な荷動量の増加、それに伴う船腹量の増加は今後も続いていくことが予想されます。そこで海運業の果たす役割も、当然増大していくでしょう。

 

「コンテナ取り扱いで世界の半数を占めるアジアの存在感」

 

世界的にコンテナ貨物量が増加している中、特に高いシェアを占めているのがアジアの国々です。世界全体のコンテナ取扱量のうち、アジア諸国が占める割合は1990年の段階で40%を下回っていました。しかし以後大きな伸びを見せ、2002年には約50%に達しています。その後も増加傾向は続き、2014年時点では54.9%となっています(『SHIPPING NOW 2016~2017』36ページ)。

 

船腹量でもアジア諸国が大きな割合を占めています。世界全体の船腹量の中で、アジアの船会社が運航する船の占める割合は43.3%です。さらにその内訳では、日本が13.3%(約2億3068万重量t)のシェアを占めています(日本の船会社が保有する日本籍船と海外子会社が保有する外国籍船の合計)。

 

これは世界的に見ても、ギリシアに次いで2番目の規模に相当します。これに次ぐのが中国で9.1%(約1億5756万重量t)です。アジアにおけるシェアは、日本と中国の2国で5割以上を占めていることになります(数値は2015年1月、同21ページ)。

 

コンテナ輸送においてアジアが大きな位置を占めていることは、各国の港における取扱量ランキングからも見て取れます。2015年時点で、世界の主要港におけるコンテナ取扱量ランキング1位となっているのは中国の上海港(3,654万TEU)です。2位がシンガポール港(3092万TEU)で、3位から5位は深圳(2,420万TEU)、寧波(2,062万TEU)、香港(2,011万TEU)と、トップ一10のうち、実に7港を中国が占めているのが現状です。

 

一方、日本の港は30位にようやく東京港(490万TEU)が入るという状況です。1980年の時点では、日本の神戸港(約146万TEU)が世界第4位にランキングされていましたが、以後日本の港の地位は年を追うごとに低下していきました(取扱量は速報値、同34ページ)。

もう一点注目しておきたいのが、商船の建造量です。

 

この分野でも、アジアの役割の大きさが見て取れます。2015年の世界シェア1位を占めるのは中国(37.2%)、次いで韓国(34.5%)、そして第3位に日本(19.3%)がつけています(同22ページ)。この3カ国で、世界シェアの9割を占めているのです。

 

20年前は日本が世界一の建造量を誇っていましたが、その後韓国が日本を追い越し、さらに中国の伸張によって日本のシェアは低下していきました。とはいえ、世界的にも日本がまだ商船建造において大きな役割を果たしていることは確かです。さらに近年は、日本の造船業界に復活の兆しも見られるようで、今後の動向が注目されます。

 

「荷動量は横ばいで推移するものの、シェアは低下」

 

世界的に荷動量が増加している中、日本に限った場合では、同様のことがいえるでしょうか。残念ながら答えはノーです。90年代頃までは右肩上がりの傾向が見られましたが、2000年代に入ると、2009年に大きく低下したのを除き、ほぼ横ばいの状態が続いています。

 

伸び悩んでいるという日本の荷動き状況は、相対的に世界における日本の占める割合が低下しているということを意味します。実際、90年代以降、日本のシェアはほぼ一貫して低落をたどっています。2004年時点では世界全体の14.5%を占めていましたが、2014年には9.1%にまで低下しています。

 

総体での日本の荷動量が横ばいで推移する中、輸出だけに注目すると増加傾向が見て取れます。この10年間、輸入についてはさほど変化はありませんが、輸出についてはそれ以前から引き続き、右肩上がりの傾向があるのです。この点は注目しておきたいところです。

 

次にコンテナ貨物に絞って荷動きの動向を追ってみましょう。世界全体では、2004年の時点で3億3800万TEUでしたが、10年後の2014年には6億7926万TEUになっています。実に2倍です。

 

日本を除くアジア地域(韓国・中国・香港・台湾・タイ・フィリピン・マレーシア・シンガポール・インドネシア)は1億4885万TEUから3億2639万TEUと、同様に約2.2倍となっています。そして日本は、2004年に1643万TEUだったのが2014年には2074万TEUまで伸び、世界平均に比べると伸び幅は小さいものの、10年で約1.3倍に拡大したことになります。

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つづく。

次回は、「我が国の貿易は九割以上を船が運ぶ」というテーマになります。

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年02月13日

コラム/最適物流の科学④

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

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そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第四回となる今回は、第2章に書かれた日本の貿易の歴史のつづきについてご紹介していきます。

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先に紹介した日本郵船会社と大阪商船会社の二社は、時代の潮流に乗って著しい発展を遂げていきます。

日本郵船会社は1893年、日本初の遠洋定期航路となるボンベイ(インド)航路を開設。さらに、欧州、北米、豪州に定期航路を拓くなど、事業を拡大していきました。

 

一方の大阪商船会社も、台湾、北米、南米、欧州などに航路を広げていきました。

 

両社ともに規模を拡大できた背景には、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦などがありました。これらの戦争によって物資の移動が盛んに行なわれたのです。第一次世界大戦が終わった頃の日本は、イギリス、アメリカに次ぐ海運大国になっていました。

 

「太平洋戦争によってゼロからの出直し」

しかし、太平洋戦争に突入すると、その勢いに陰りが見えるようになります。

 

1942年になると、すべての船舶が国に徴用され、貿易のための海運ではなく、戦争のための物資と兵士を運ぶための海運となります。

 

海上を航行する船舶は、アメリカ軍の標的になり、大量に沈没しました。太平洋戦争によって失われた商船は、資料によって異なりますが、2千数百隻にのぼるとされます。亡くなった商船の船員(100総t以上)は、財団法人海上労働協会の調査では3万592人となっています。

 

戦争によって日本の海運業は壊滅的な打撃を受けました。戦時中は徴用された船舶が損害を受けると政府からの補償が受けられましたが、それも終戦と同時に打ち切られました。

 

戦後、日本の海運業界はゼロからの出直しを迫られたのです。

 

戦後しばらくの間は、日本の海運業は連合国の統治下にありましたが、1950年にすべての船舶が返還されることになりました。

 

同年、外国航路が復活したり、沖縄航路が開設されたり、日本の海運に光明が見え始めます。そんな中、朝鮮戦争が勃発し、大量の物資が行き交うようになります。これは、海運業界の復興への大きな足がかりになりました。

 

「世界的な海運不況によって国内各社が再編成」

 

さらにその直後の1956年、エジプトのナセル大統領が、スエズ運河の領有を宣言。利権を持っていたイギリス、フランスとの対立が激化し、スエズ運河が閉鎖されました。

 

これにより、大量の船舶が喜望峰回りを余儀なくされ、世界中で船舶の絶対数が足りなくなったことで海運市況は暴騰。このスエズブームは日本の海運を飛躍させる要因となりました。

 

しかしその後、スエズブームの反動で、世界の海運業界は大不況の波に襲われます。この頃、大型タンカーなどの専用船をはじめ、船舶が大量に建造されすぎて供給過剰になったことも海運業界の大不況の一因でした。

 

日本中の海運会社の経営が悪化する中、一九六三年に国会で海運業界の再建に向けた海運再建二法が可決・成立しました。これによって、日本の海運業界は再編成の時期に入ります。

 

吸収合併によって最終的に、日本郵船、川崎汽船、大阪商船三井船舶、ジャパンライン、山下新日本汽船、昭和海運の「中核六社体制」に集約されました。

 

以後しばらくこの体制が続きましたが、1980年代の後半に入ると業界に新たな変化の波が押し寄せます。そのきっかけとなったのが1985年9月22日の「プラザ合意」です。ニューヨークのプラザホテルで行なわれた先進5カ国(G5)蔵相・中央銀行総裁会議で発表された、ドル高是正に向けた合意により、以後円高が進行することになります。いわゆるバブル景気の幕開けです。一般には、バブル、イコール好景気というイメージで捉えられがちですが、外航海運業界にこの図式は当てはまりません。なぜなら、外航海運会社は収入のほとんどがドル建てのため、円高になると収入が目減りします。また、輸出製品の競争力がなくなり、荷量が減るのです。

 

不況の荒波に直面した外航海運各社は、厳しい状況を脱却すべく、新たな道を模索し始めました。まず、中核六社の一角を占めていた昭和海運が、1988年7月に定期航路部門から撤退します。同年10月には、ジャパンラインと山下新日本汽船が定期航路部門を分離し日本ライナーシステムを設立します。さらに翌年六月には両社が合併しナビックスラインとなりました。一方の日本ライナーシステムは、1991年には日本郵船に吸収合併されます。1998年には、すでに定期航路部門から撤退していた昭和海運も日本郵船に吸収合併されます。その翌年には、大阪商船三井船舶とナビックスラインが合併し、商船三井が設立されました。

 

こうした一連の動きにより、中核六社体制は崩壊し、外航定期航路を持つ日本の船会社は、日本郵船、川崎汽船、商船三井の3社となりました。この3社は、1990年代半ば以降、それぞれ海外の外航海運会社とアライアンス(同盟)を結成し、厳しい国際競争の中で生き残りを図ってきました。

 

そして2017年7月、この3社がコンテナ船事業を統合して新会社「オーシャン ネットワーク エクスプレス ホールディングス」を設立するという大きな動きがありました。これは、世界最高水準のネットワークで90カ国以上を結ぶ「次世代の海運の誕生」というべきトピックスです。

 

——————————————————————————————————–

 

つづく。

次回は、世界経済という大きな枠組みを出発点に海上輸送とそれを担うコンテナ船についてさらに踏み込んでいきます。

 

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投稿者

ジャパントラスト株式会社 

 

2019年02月06日

コラム/最適物流の科学③

最適物流の科学

 

弊社社長の菅が、2017年12月に『最適物流の科学―舞台は36106万平方km

海を駆け巡る「眠らない仕事」』という書籍を出版しました。

 

そこで、本ブログでも、その書籍から抜粋した内容を

毎週1話ずつ、ご紹介していきたいと思います。

 

第三回となる今回は、第2章に書かれた日本の商船の歴史とその種類についてご紹介していきます。

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「貿易が我が国の経済を支える」

 

島国で、かつ天然資源が乏しい日本にとって、貿易が非常に重要であることはいうまでもありません。

 

そこでまず原材料資源の輸入依存度を見てみると、鉄鉱石や石炭は100%が輸入。次にエネルギー資源の輸入依存度を見てみると、原油は99.7%、天然ガスは約97.5%となっています。

 

ちなみに我が国で原油を産出するのは秋田から新潟にかけての地域。最大の生産量を記録したのは2010年で853,000klです。それでも国内消費量の0.4%にしか過ぎません。同様に、新潟県や北海道などで産出される天然ガスも約242,900万㎥(2006年)でしかありません。

つまり必要な残りのエネルギー資源は、先に見た専用船を使って海外から日本へ運ばれてくるのです。

 

また原材料・エネルギー資源に限らず、衣食住に関わるさまざまな物資が日々海を越えて日本に運ばれてきています。

衣に関する原材料として主要な位置を占める綿花や羊毛は100%が輸入です。また食に関していえば、主な品目で、大豆93%、小麦85%、砂糖67%が輸入に頼っています。これらの数値から、我が国のカロリーベースの食料自給率を計算すると約四割にしかなりませんから、いかに輸入が大事かわかります。

さらに住にまつわる素材でも、天然ゴムが100%、木材も約七割が輸入で占められています。まさに原材料・資源・食料の輸入大国が日本なのです。

 

さて、それでは輸出に関してはどうでしょうか? 2016年の日本からの輸出総額は約70兆円。その内訳を見ると、自動車や自動車部品など輸送用機器が25%と最大の割合を占めています。以下、一般機械19%、半導体など電子部品を含む電気機器が18%となっています(一般社団法人日本貿易会「日本貿易の現状2017」)。いうまでもなく工業製品が圧倒的に大きな割合を占めています。

 

輸出依存度(GDP〔国内総生産〕に対する輸出額の比率)は約14.9%です。同じアジアの香港162.6%、韓国40.6%、中国22.6%という数値に比べても、それほど大きくないことがわかります(データは2014年、総務省統計局「世界の統計2017」)。

 

この数字だけを見ると、日本は「貿易立国」というイメージからは程遠いかもしれません。それでも、日本のGDPは世界第三位。輸出額の国別ランキングでは、アメリカ、中国、ドイツに次ぐ第四位となっています(2016年)。輸出依存度の数値は大きくないとはいえ、日本の輸出規模が世界有数のものであることは間違いありません。

 

そして、その輸送の大半を担っているのが海運なのです。

 

「古代から外国と交易を行なってきた日本」

 

現在の日本経済において「海運」は、欠かすことのできない存在です。

 

海運によって大量の物資が自由に輸出入できるから、日本経済は成り立っています。

 

この日本の海運が今日のように発達するまでには、紆余曲折がありました。

 

日本の海運は、これまでいかなる道を歩んできたのか。はじめにその歴史を再確認していきましょう。

 

皆さんご存知の通り、日本では古代から朝鮮や中国と交易を行なってきました。これは社会の授業で習いましたね。

 

聖徳太子の時代の遣隋使に始まり、平清盛は宋との交易を進めましたし、足利義満は明と勘合貿易を行なっていました。時の権力者にとって、近隣の国と交易を行ない、外貨を稼いだり、外国から情報を得たりすることは重要なテーマでした。

 

さらに時代が進むと、外国との交易がますます盛んになります。

 

江戸時代の初期になると朱印船貿易が行なわれ、幕府から許可が与えられた大名や商人は「外国との貿易をしてもよい」ということになります。

 

それまでの貿易相手は、朝鮮や中国という限定された国でしたが、朱印船貿易を機に、東南アジア各国に広がっていきました。フィリピン、カンボジア、タイなどに日本町ができるほど活発に貿易が行なわれたのです。

 

しかしその後、日本国内で外国の影響力が広まることを恐れた幕府が鎖国に踏み切ります。

 

これに伴い、貿易相手国はポルトガルと中国だけに。さらに、貿易港は長崎に限定されます。この鎖国の影響で、日本の海運の発達は長期にわたって滞るようになりました。

 

「明治時代には外国との定期航路が誕生」

 

外国との自由な交易が復活するのは、明治時代に入ってからです。鎖国がなくなり、外国との海上輸送が再び行なわれるようになりました。

 

とはいうものの、日本の海運は当初、パシフィック・メイル(Pacific Mail Steamship Co.)というアメリカの海運会社に独占され、自前の海運力を持っていない状態でした。

 

しかも、パシフィック・メイルは直行便ではなく「サンフランシスコ ― 香港間」を行き来する途中に、横浜、神戸、長崎に寄港しているだけだったのです。

 

こうした状況の中、「日本も独自の海運を持つべき」との機運が高まっていきました。

 

そのきっかけとなる出来事が1870年に起こります。

明治政府により半官半民の回漕会社が設立され、「東京 ― 大阪間」に定期航路が開設されたのです。

 

この会社は残念ながら、業績不振により一年足らずで解散に追い込まれます。しかし、その翌年、解散した回漕会社の業務を引き継ぐ形で回漕取扱所が設立され、一八七二年に日本国郵便蒸気船会社へと改組されました。

 

また同じ頃、別の場所で近代の海運発展に繫がる流れが起こっていました。

 

土佐藩出身で後に三菱財閥の創業者となる岩崎彌太郎が九十九(つくも)商会を設立。「高知 ― 神戸間」、「東京 ― 大阪間」の国内航路を開いたのです。

 

この会社は1873年に三菱商会となり、三菱汽船会社、郵便汽船三菱会社へと改称しながら、事業を拡大していきました。

 

三菱はその後、日本国郵便蒸気船会社との競争に勝ち、1875年に「横浜 ― 上海間」に航路を開設。これが日本初の外国定期航路となります。

 

さらに、競合したパシフィック・メイルやイギリスのP&O(Peninsular & Oriental Steam Navigation Co.)を撤退へと追い込みました。

 

しかし、その三菱に新たなライバルが現れます。

 

政府と三井財閥らが共同運輸会社を設立。三菱と激しく争うようになったのです。最終的に両社は合併するに至り、1885年に日本郵船会社が誕生することになります。

 

近代の日本の海運を牽引することになる存在が、この日本郵船会社と別にもう一社ありました。大阪商船会社という会社です。

 

大阪商船会社は、西郷隆盛を中心にした士族の反乱である西南の役の際、瀬戸内海で活躍した中小の商船会社が合併し、1884年に誕生しました。その初代頭取に就任したのが住友家総理人の広瀬宰平でした。

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つづく。

次回は、日本の貿易の歴史のつづきをご紹介したいと思います。

 

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